教科書 〉 所得税
税額計算・税額控除(住宅借入金等特別控除ほか)
最終更新日:2026年7月19日
税額の計算と、税額から直接差し引く「税額控除」です。住宅ローン控除・配当控除・外国税額控除・ふるさと納税を扱います。
- 課税所得に超過累進税率を適用して税額を計算します。
- 住宅借入金等特別控除は年末残高×控除率を税額から控除します(住宅の性能・入居年で限度が異なります)。適用期限は令和8年度改正で令和12年12月31日入居分まで延長されました。
- 配当控除は総合課税を選んだ配当について税額から控除します。単純に一律ではなく、課税総所得金額1,000万円以下の部分は10%(証券投資信託の収益分配は5%)、超える部分は半分の率になります。
- 外国税額控除は、国外所得に対して外国で課された税を国内の所得税から差し引き、国際的な二重課税を調整します。
- ふるさと納税は寄附金控除(所得税)と税額控除(住民税)として一定額まで控除できます。
配当控除(所得税法92条)
総合課税を選択した配当所得について、税額から一定割合を控除する制度です。二重課税の調整を目的としますが、割合は課税総所得金額の帯によって変わります。
- 課税総所得金額1,000万円以下の部分=剰余金の配当等は10%、証券投資信託の収益の分配は5%です。1,000万円を超える部分では、それぞれ5%・2.5%になります。
- 外貨建等証券投資信託の収益の分配は、上記のさらに1/2(2.5%・1.25%)です。
- 控除しきれない額は切捨てです(還付も繰越もありません)。
- 申告不要を選択した配当・申告分離を選択した配当・J-REIT(投資法人)からの配当・外国法人からの配当などは配当控除の対象外です。
外国税額控除(所得税法95条)
国外で生じた所得に外国の所得税が課された場合に、一定の限度額まで国内の所得税額から控除します。
- 控除限度額=その年分の所得税額 ×(調整国外所得金額 ÷ 所得総額)です。ここでいう「所得総額」は「合計所得金額」ではありません=総所得金額・退職所得金額・山林所得金額の合計で、かつ純損失・雑損失の繰越控除を適用しないで計算します(所得税法施行令222条2項)。
- 控除限度額を超えた分・使いきれなかった分は、それぞれ翌年以後3年間の繰越しができます。
- 控除の対象は所得税だけでなく、地方税(道府県民税・市町村民税)にも及ぶしくみになっています。
ふるさと納税(所得税法78条・地方税法)
実質2,000円の負担で応援したい自治体に寄附できる制度ですが、税目ごとに控除の性質も上限(母数)も異なるのが最大の論点です。
- 所得税=寄附金控除(所得控除)で、対象となる寄附金額は総所得金額等の40%が上限です。
- 住民税の基本分=税額控除で、対象は総所得金額等の30%が上限です。
- 住民税の特例分=税額控除で、所得割額の20%が上限です(3つとも母数が異なります)。
- 特例分の額=(寄附金額−2,000円)×(90%−所得税率×1.021)で計算します。
- ワンストップ特例は寄附先が5団体以下の場合に使えます(回数ではなく団体数です。申請書は寄附ごとに提出します)。ただし、確定申告をするとワンストップ特例は全件無効になります。
- ⚠令和8年度改正で特例控除額に定額上限(合計193万円)が設けられましたが、適用は令和10年度分以後の個人住民税=令和9年中の寄附からです。令和8年分(2026年分)の寄附は対象外で、基本ルール(40%・30%・20%・2,000円・5自治体)に変更はありません。
住宅借入金等特別控除の要件(補足)
- 合計所得金額2,000万円以下の年に限り適用できます(所得要件)。
- 床面積は原則50㎡以上です。40㎡以上50㎡未満の小規模な住宅は、合計所得金額1,000万円以下の年に限り特例として適用できます(「原則が40㎡に緩和された」わけではありません)。
- 省エネ基準に適合しない新築の「その他の住宅」は、令和6年1月1日以後の入居分から原則適用できません(借入限度額・控除率・期間は入居年と住宅の環境性能で変わるため、具体的な金額は個別に確認します)。
実務ポイント
確定申告でふるさと納税を申告すると、ワンストップ特例は全件無効になります。医療費控除だけの還付申告でも無効になるので、「申告するなら寄附分もまとめて申告する」ことを顧問先に伝えましょう。
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